道越久悟について
静岡大学教育学部数学科を卒業後、公立小中学校教員として30年以上教育現場に携わり、現在は「問いを育てる教育家」として、学校・教育委員会・教育関連事業者の教育活動を支援しています。
教師としての原点
新規採用された頃の私は、人前で話すことが得意ではありませんでした。授業も、うまくできませんでした。
教師になったものの、「自分は先生に向いていないのではないか」と、何度も思っていました。
そんなある日、学校に一本の電話がかかってきました。相手は名乗りませんでした。そして、こう言われました。
「もっとわかりやすい授業をしてください」。
私は大きなショックを受けました。悔しさもありました。情けなさもありました。電話を切ったあと、「なんで先生になってしまったんだろう」と本気で悩みました。
しかし同時に、子どもたちはちゃんと見ているのだと気づきました。
人前で話すことが苦手だったのは、人の表情や場の空気を敏感に感じ取ってしまう、HSP(Highly Sensitive Person)気質もあったからだと思います。当時は、それが弱みだとしか思えませんでした。
そこから私は、どうしたら子どもに伝わるのか、どうしたら子どもが学びたくなるのか、を考え続けるようになりました。
私は、最初から優秀な教師だったわけではありません。失敗や葛藤の連続でした。だからこそ、学び続けることの大切さや、うまくいかない子どもの気持ちも理解できるようになったのだと思います。
今振り返ると、あの一本の電話は、私の教師人生を変えた出来事でした。ここが、私の原点です。
国際教育との出会い
「どうしたら子どもに伝わるのか」を考え続ける中で、私は国際教育に関心を持つようになりました。
大学院で国際教育を学び、修士号を取得しました。結婚後にはUCSB(カリフォルニア大学サンタバーバラ校)へ短期留学し、海外教育研究にも取り組みました。
学校現場では、国際教育担当、外国語活動担当、ALTとの授業調整、外国籍児童生徒の受け入れ・担任、帰国子女支援、海外在住日本人児童生徒への指導にも携わってきました。
様々な学びを重ねながら、教員としての経験を積んでいったある年、私は大きな壁にぶつかることになります。
学級崩壊、そして休職
教員になって7、8年目の頃、小学6年生の担任をしていました。
当時の私は、真面目で責任感が強く、授業を成立させること、学級をきちんと運営すること、子どもを正しい方向へ導くことに、強い意識を向けていました。
けれど、思うように学級経営がいかず、大きな挫折を経験しました。学級崩壊です。そのことをきっかけに、休職も経験しました。
そんな時期、ある先輩教師との出会いが、大きな転機になりました。隣のクラスとして1年間学ばせていただき、TT(チーム・ティーチング)でも一緒に授業を行いました。子どもたちを信じ、温かく関わるその姿勢に、大きな影響を受けました。
学級崩壊は、教師人生の中でも特に苦しい経験でした。それでも今の私にとっては、失敗としてではなく、今の教育観につながる大切な転機だったと感じています。
人を見る教育への転換
この経験を通して、「子どもを変えようとする前に、まず理解すること」「一人ひとりの背景や気持ちを見ること」「安心できる関係づくりが土台であること」を学びました。
そこから、子どもの表情や空気感を丁寧に感じ取ること、反応に応じて授業を変えること、正解だけでなく考え方を認めること、違いを価値として受け止めることを、意識するようになりました。
インプロ・NLP・コーチングとの出会い
この転換をさらに深めたいと思うようになった私は、NLP、コーチング、ポジティブ教育、ウェルビーイング、インプロ(即興)を学ぶようになりました。インプロは、東京や大阪まで学びに行きました。
そこで学んだのは、授業は教師が一方的に教えるものではなく、子どもたちと共に創るものだということです。
きゅうご先生ワールド
子ども一人ひとりの中にある「好き」「得意」「好奇心」「違和感」「なぜ?」「やってみたい」を見つけ、育てること。学級崩壊や、そこからの学びを経て、私が大切にするようになったのは、この関わり方です。
そうした関わりの積み重ねが、いつしか同僚の先生方から「道越ワールド」「きゅうご先生ワールド」と呼ばれる文化になっていました。
好きが学びになる。
学びが挑戦になる。
挑戦が未来をつくる。
子どもたちとの物語
このきゅうご先生ワールドの中で出会った子どもたちの物語を、いくつか紹介します。
ソーラン節と学年づくり
小学5年生の学年で、ソーラン節に取り組みました。最初はまとまりがなく、自信のない子も多くいました。しかし練習を重ねる中で、子どもたち同士が認め合い、一体感が生まれていきました。本番後には涙を流す子も多く、保護者の方々からも感動の声をいただきました。地域のお祭りや舞台にも招待され、子どもたちは大きな達成感を味わいました。
全校集会の司会をした男の子
小学5年生のある男の子は、人前で発表すると途中で固まり、泣いてしまうことがありました。それでも本人は諦めず、少しずつ挑戦を続けました。周りの子どもたちも、急かさず見守り続けました。そして6年生になる頃には児童会役員となり、全校集会の司会を務められるようになりました。その姿を見た時、人は安心できる環境と挑戦の機会があれば成長していくのだと強く感じました。
吃音のある男の子
中学1年生のある男の子には、吃音がありました。最初は「どう接したらよいだろう」と考えましたが、私は無理に直そうとはしませんでした。それも彼の個性の一部だと思ったからです。発言の機会を奪わず、特別扱いもせず、「今のままでいい」と伝え続けました。すると、クラスの仲間たちも自然に彼を受け入れ、彼自身も堂々と前に出て発言するようになりました。私はこの経験から、「違いを直す」のではなく「違いを生かす」ことの大切さを学びました。
私が伝えたいのは、教育理論ではありません。
「人は変われる」という実感です。
子どもも、大人も、教師自身も、成長し続けることができます。
教育実践
「問題を解決する力」だけでなく、「新しい問いを見つける力」を育てる。
この視点を中心に、「学びを面白くする授業づくり」と「子どもの可能性を引き出す人づくり」という2つの軸で専門性を磨いてきました。
学びを面白くする授業づくり
算数・数学教育をベースに、単元構想、導入や発問の工夫、授業のストーリー化、即興性を活かした授業展開、NLPを活用した授業づくりに長年取り組んできました。
子どもの可能性を引き出す人づくり
教科内容を教えるだけでなく、子どもの強み発見、教科を通した人間性育成、安心して挑戦できる学級文化づくりを重視してきました。この視点は、若手教員コーチングや保護者対応、講師育成、さらには塾や教育事業者の強み発見・差別化にも広がっています。
これからの学びへ
近年は、探究学習、STEAMS教育、起業家教育、AI活用、国際教育・海外研究を結び付けながら、新しい問いを見つける力を育てる教育を探究しています。
現在の活動
- 外部教育顧問(学校・教育委員会・研究指定校向け)
- 教育サービス事業者(学習塾・家庭教師会社等)向け支援
- CEOキッズ 主宰
- ゆめキッズ(教育プログラム)
- うちゅラボ(子ども・保護者のコミュニティ)運営
- 国際研究・共同研究
実績・資格(参考情報)
ここまでの物語を裏付ける、参考としての実績・資格です。
教員として
メディア・映像教育として
学習指導者として
研究者として
資格・所属